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ゲーム『VA-11 Hall-A』で知る、ディストピアを生きる人のリアル

2020.11.12 00:12

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目次

ディストピア作品好きは要チェック!

ゲーム『VA-11 Hall-A』とは?

SFゲーム作品に馴染みない人も楽しめる

『VA-11 Hall-A』をチェックする


ディストピア作品好きは要チェック!

ディストピア小説と言えば、ジョージ・オーウェル『1984年』、オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』など有名なタイトルがいくつも挙げられるだろう。これらのタイトルにビビッと来た人たちに是非オススメしたい作品がある。本作は、物語ではなく、ディストピアを生きる人々に焦点を当てたゲームだ。本作では、世界観を楽しむだけでなく、その世界で生きる人々の言葉に注目してほしい。

ゲーム『VA-11 Hall-A』とは?

押井守や攻殻機動隊に強く影響を受けた、ベネズエラのゲーム開発チーム『Sukeban Games』から発売された『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』。通称『Va11halla(ヴァルハラ)』。80年代風の洒落たBGMに、古典的なビジュアルノベルのようなUI。本作はPC版、PS4版、Switch版、Vita版が存在しているが、2017年の時点で、PC版の販売数は約20万本を記録している。

舞台は、西暦207X年。暴力が蔓延し、全市民にナノマシンが注入され、政府の監視対象となった街、グリッチシティ。そんな、抑圧された市民たちの憩いの場は、ヴァルハラと呼ばれるBARだった。

ヴァルハラでバーテンダーとして働くジルは、疲弊した市民たちの愚痴を聞き、彼らの抽象的なカクテルのオーダーに応え、コミュニケーションを取っていく。
『Va11halla』の物語はこのBARから始まり、この場所で完結する。

ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション

引用元: ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション

SFゲーム作品に馴染みない人も楽しめる

本作品では、レベル上げや物語を進行させることは一切必要ない。
プレイヤーはBARヴァルハラのバーテンダー、ジルとして働く。バーテンダーの仕事が終わったら、携帯端末で世の中のニュースやネットの掲示板をチェックし、寝る。BARでプレイヤーがすることは、ひたすら客からの注文を受けてカクテルを提供し、客の話を聞く。たったこれだけの要素しかない。

ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション

引用元: ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション


故に、小説や映画でしかSF作品に触れない人たちも、気軽にプレイ出来るゲーム作品となっている。 本作品の物語や世界観は、ヴァルハラに足を運んだ市民たちをカクテルで酔っ払わせ、口を滑らせた内容や会話から推測して楽しめるのだ。

BARヴァルハラにやってくる市民たちは、人間に限らない。リリムと呼ばれる高性能アンドロイドや、アンドロイドの歌姫、犬、ロリフェイスのセクサロイド、瓶詰めの脳みそ、ハッカー、腐りきった政府の軍人、動画配信を行うYoutuber、体の一部を改造をした富裕層の猫耳少女など様々だ。
画像の少女はアンドロイドの歌姫、キラ☆ミキ。彼女のキャラクターデザインのモデルは、日本の有名なアニメ『超時空要塞マクロス』に登場するリン・ミンメイだ。ちなみに、本作品内ではキラ☆ミキの歌も聞くことができる。

ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション

引用元: ゲームソフト | VA-11 Hall-A ヴァルハラ | プレイステーション


個性豊かなキャラクターたちが語る、国への不満や人間関係の悩み、恋愛観などの価値観は妙にリアリティがあり、誰にとっても興味深い内容に違いない。

そして、誰かと会話し、会話を聞く楽しさを改めて気付き、ハッとした。
私たちも、生活する中で疲れ果て、誰かに話を聞いてもらい、会話することで妙にスッキリする瞬間があるはずだ。そして、誰かが言ったほんの数行程度の言葉に人生を左右され、救われることも。時に下世話で、時に鋭い発言や会話を、ゲームの世界で堪能出来るのが本作の魅力である。

外出がしづらくなった現実世界を生きる私たちは、気軽に知らない人々とリアルで会えなくなった。これがきっかけとなり、リアルでのコミュニケーションがどれほどの息抜きになっていたか、改めて痛感する人もいるだろう。
ディストピアであるグリッチシティで生きる人々もリアルでのコミュニケーションを求めていた。どんな世界でも、人が求めているのはリアルでのコミュニケーションなのではないだろうか。

現実世界のBARに、足を運びづらくなった人も、会話の楽しさを取り戻したい人も、ディストピア作品が好きなSFファンもBARヴァルハラに足を運んでみて欲しい。

最後は、ジルがBARヴァルハラで仕事を始める前に唱える、おきまりのセリフで締めようと思う。

「一日を変え、一生を変えるカクテルを!」

『VA-11 Hall-A』をチェックする

現在、amazonで購入出来るのは、PS4版とSwitch版の2種類。